卒業生の声

graduate

卒業生の現在をインタビューしました。

東京高専の本科卒業後の進路は、約半数が就職し、もう半数が専攻科に進学したり大学3年に編入学し、その後就職します。
卒業生に、仕事や在学中のことについてインタビューしました。

卒業生インタビュー|2021年度電子工学科卒業生|上島 郁さん

インタビュー実施日|2023.12.22

現在どのような仕事をしているのか教えてください。

一般財団法人日本品質保証機構にて、電子計測器の校正をしています。計測器の示す値が世界の標準と比べてどれだけ値が正しいかを見ています。
一例として、メーカーや研究機関から計測器をお預かりし、標準となる電圧を発生させる機器で電圧測定器に電圧をかけたときの表示値を調べたりしています。
基本的には1つの計測器を1人で担当します。
またお客様のところに出向き出張して作業をすることもあります。その時は複数人のチームで対応します(出張前準備から校正後のフォローまで全てチームで対応します。)。
出張は月に2回、計3~6日くらいです。
工場など普段見ることができない実際の現場を見ることができ、出張ならではだと思っています。

現在の職種で働きたいと思ったきっかけを教えてください。

もともと現在の職種(第三者認証)の存在を知りませんでした。webサイトで見かけて珍しいと思い興味をもったことがきっかけです。
気になっていた設備保守のような現場の仕事にも似ている部分がある上、自動車・航空・医療を始めとしたさまざまな業界に携われると思いました。

在学中に学んだことは役に立っていますか?

はい、役に立っています。
1つ目に、計画が重要、情報共有が重要ということがあります。
社会実装プロジェクトという授業や演劇同好会の会長の経験を通じて、計画を立てること、グループ内で進捗の共有や意見交換が大事なことを痛感しました。会社でも複数人で仕事をしているいため、とても役にたっています。
2つ目に、レポート作成があります。
技術的なことを簡潔に書くこと、例えば機械の操作方法や外部向けセミナー資料の作成補助など。
学生時代に培ったレポート作成もとても役に立っています。

入社してからの苦労があれば教えてください。

今も苦労しているのですが、仕事の時間配分です。
社内の校正は1時間〜2日など案件によって時間が変わります。出張だと移動などもあり、まとまって時間がとられてしまいます。
また値が悪いなど、想定しないことが起きて、別の方法で測定をやり直すなどにより、予想以上に時間がかかることあるので、時間配分は難しいと感じます。

学生時代にやっておいてよかったことがあれば教えてください。

クラブ活動・部活動などに参加していてよかったと思っています。学生時代の人間関係は大切だと考えています。
また、複数の高専が集まって開催していた発表会(文化発表会)に参加していたことで他の高専の方と関わることもありました。
高専は少人数で先生とも距離が近いことがメリットなのですが、外部の人たちや違ったタイプの人たちと接する機会も大切だと感じています。

今、自分の理想の仕事に対してどのくらい実現していると思いますか?

今の仕事は、学生時代に私が考えていた理想の仕事に対して、90%くらい実現できると感じています。校正という仕事に関してはイメージしていた仕事とギャップがあまりないです。
しかし、実際に仕事をしてみると校正以外の業務もたくさんあり、仕事の奥深さを感じているので、仕事全体としては20%くらいの実現度です。まだ知らないことがとても多いので、もっと色々知って後輩に教えられるようになりたいです。

今後どのように活躍していきたいと思いますか?

計測に関する専門性の高い人間になりたいです。
電子計測器もさまざまあるので、この計測ならこの人に聞けばいい!というようなエキスパートになりたいです。

最後に東京高専を目指す中学生にアドバイスをお願いします!

ものづくりに興味がある人、早い段階で専門知識を学びたい人にはとても楽しい学校です。
私はもともと電子回路に興味があったのですが、入学して本当によかったと思っています。

卒業生インタビュー|2019年度機械工学科卒業生|森 悠人さん

インタビュー実施日|2024.01.19

現在の職種で働きたいと思ったきっかけを教えてください

高専OGの方からワコムで設計メンバを募集していると聞いてたことがきっかけで応募しました。
もともとワコムタブレットユーザーだったこともあり、クリエイティビティを支えるペンタブレット開発に携わりたいと思い、また社長の人柄にも惹かれ、入社を決意しました。

在学中に学んだことは役に立っていますか?

はい、役に立っています。
勉学については、高専では学ぶのための環境が整っており、特に設計をする上での基本的な設計図の書き方から材料学など幅広く学ぶことができたと感じています。
卒業研究・論文などを通して、設計時のトライ&エラーやコミュニケーションの方法など学ぶことができ、今の自分に役に立っていると感じます。

現在どのような仕事をしているのか教えてください

ワコムというペンタブレットを扱う会社で仕事をしています。EMRペンソリューションという部署でペンの設計開発を行っています。
ワコムはファブレス(自社工場を持たない企業)のためペンの製造は海外(ベトナム、中国)で行っています。設計部門は設計だけでなく、計画から量産までフォローしており、海外に行くことも多いです。コロナで渡航できない時期もあり、設計したらweb会議を行い、海外の工場と製作するものに関して、コミュニケーションをとっています。

学生時代にやっておいてよかったことがあれば教えてください

部活動をやっていてよかったと思っています。
自分の学年・学科だけでなく幅広い世代、様々な学科とのつながりを得られ在学時に困ったことを相談できる先輩に会えてよかったと思っています。
また、卒業後でもアドバイスをいただいたり、お世話になっているので、部活動はやっていてよかったと思います。

就職前にしておいた方がよいことはありますか?

英語を勉強しておけばよかったと思っています。今の部署では英語が必須なので、入社後に苦労しています。
英語だけではないのですが、日々勉強しています。自分が好きなものと絡めて勉強することを心がけています。
もう1つは資格をとっておけばよかったと思っています。資格は自分の証明できるツールになる為、もっと取っておけばよかったと思っています。

今、自分の理想の仕事に対してどのくらい実現していると思いますか?

理想の仕事として今の仕事は100%です。
ただ先輩の仕事のやり方、スピード感はとてもすごく、そこから見るとまだまだ成長しなくてはいけないと感じています。
例えば、仕事の処理、お客様とのコミュニケーション、目標へのアプローチ、様々な引き出しを持っている先輩から学ぶことがたくさんあり、これからも精進していきたいと思っています。

今後どのように活躍していきたいと思いますか?

今作っているペンよりも、もっと書きやすいペンを作りたい。特にユーザーがより使いやすいペンをもっと作っていきたいと考えています。
今作っているペン以外にも常に会社としてコアな技術を開発し続けていきたいと思っています。

最後に東京高専を目指す中学生にアドバイスをお願いします

高専の1番の利点は通常の高校とは違い、5年間で専門的な知識を早いうちから学ぶことができる点にあります。やりたいことが明瞭な人たちが集まっている学校はほかにないと感じています。
そして夢をもった人たちが集まっています。
1年生の時はいろんな学科志望の人が同じクラスで学ぶ環境だったので価値観を広げることができました。
将来の夢が高専を通して目指せる方には是非入っていただきたいです。